その「紹介」に再現性はあるか
士業やコンサルタントの新規開拓ルートの最右翼として、「紹介」があります。
別の資格業者や銀行などから自分の専門分野についての仕事を紹介してもらうということです。
確かに紹介が起きるということは信用の証です。
紹介した側にも責任がありますので、低レベルな仕事をする人を紹介したくはありません。
「あの人なら大丈夫」と思って紹介してくれているのですから、それはありがたいことです。
営業活動から逃げてはいないか
ですが私は紹介を重視していません。紹介には再現性がないからです。
知り合いに対して、「これこれ、今年はまだ1件も紹介してくれてないじゃないか。」とノルマを課すことができるでしょうか。
ビジネスは継続性が求められますので、再現性がない紹介を新規開拓のメインルートにすることは非常にリスキーだと思っています。
そして「ウチは紹介で成り立っている」という人は、実は営業活動を何もやっていないことがよくあります。
つまり「仕事が来るのを口を開けて待っているだけ」ということです。
これは営業活動というビジネスの最重要タスクからの逃げに他なりません。
ですので私はWEBマーケティングに力を入れることによって、紹介には極力依存しないよう気をつけています。
紹介に頼るなら仕組み化を
紹介をメインにするのであれば、確率論的に紹介が起きるレベルにまで仕組み化する必要があるでしょう。
そのためには業務提携をしたり、銀行や他士業との人脈を広げたり、書籍を出したり、講演会に定期的に呼ばれるようなるなど、相当な努力が必要です。
その結果、「年間〇件の紹介は確実に見込める」といえる仕組みを作ったのであれば、それは立派な営業活動です。
20年以上続いている士業事務所やコンサルティング会社は、この「顧客紹介システム」作りに成功した事業所が多いのだろうと思います。
受動的な紹介客と自発的な申し込み客
ただ私はどうもそのような顧客紹介システムを作ろうという気にはなれません。
なぜかというと私の仕事が作業代行ではなく、企業が自ら移転価格税制に対応できるようになるためのノウハウを供与することだからです。
紹介された人は私ではなく紹介した人を信用しています。
私のWEBサイトをよくみておらず、セミナーにも参加していない状態で、「〇〇さんの紹介で来ました」と言われても、私のサービスを理解していない可能性が高いので不安です。
「馬を水辺に連れて行くことはできても馬に水を飲ませることはできない」と言うように自分達で何とかしようという意思がなければ、コンサルティングがうまくいきません。
ですので私は、WEBを使った「プル型営業」によって移転価格税制に自力で対応できるようになりたいという「自発的申し込み客」を集めることにこだわっています。
大手出身者ほど営業が下手
士業もコンサルも独立するのであれば、営業から目を背けることはできません。
サラリーマンとして顧客にサービスを納品する世界と、自ら受注する世界はまったく別ものです。
そういう意味では大手企業に長く勤めた人ほど独立は難しいと思います。
会社の看板が強かっただけなのに、それを自分の実力と勘違いするからです。
大手の看板を離れた個人を普通は誰も相手にしません。名刺もポンポン捨てられます。
ですので独立したいならベンチャー企業に勤めた方がセンスが身に付きますし、若いうちに独立するのに越したことはありません。
独立すれば自由、ただし給料はない
独立・起業には安定はありません。その代わりに「自由」があります。
100%とは言いませんが、90%ぐらいは自分で自由に決めることができます。
それが楽しいかどうかという向き不向きの問題です。
私はもちろん自由で不安定な自営業が大好きです。