給与天引きは勉強させないためのシステム

会社員は毎月の給料からいろいろな項目が天引されますが、その中身を正しく把握している人がどれくらいいるでしょうか。

経理がらみの人で2~3人に1人、営業や技術部門の人であれば5人に1人もいないと思います。

毎月、結構な金額を払っているのに「手取りいくら」しか知らない人が大半なのは考えてみれば異常なことです。

家賃並みかそれ以上の額を払っているのに中身をわかっていないのは異常といってもいいでしょう。

昔からおかしいと思っていたのですが、会社と従業員は「これだけの給料でこれだけの仕事をする」という雇用契約を結んでいるだけです。

雇用契約で決まるのは給料の額だけで、所得税は所得税、健康保険は健康保険、年金は年金として各自で手続きすれば良さそうなものです。

国民が無知な方が都合がいい

しかしそのような仕組みにはなっていません。

なぜか企業が従業員の所得税、住民税、健康保険料、年金保険料をまとめて給料から天引きすることになっています。

これは効率的な方法であり、しかも国民を税金や社会保険料に対して無知にしておくことができます。

週刊ダイヤモンドに書いていたのですが、額面年収1000万円の人の手取りは、2000年当時から約10%(80万円)も減っています。

給料から天引きされる社会保険料の料率アップ、各種所得控除の縮小・廃止という形で、ジワジワと手取りが減っているのです。

10年前の給与明細がある方は、天引きされている金額を今と比べてみて下さい。ガクゼンとすることは請け合いです。

 

国は国民が給料から天引きされる項目に無知であり、反対の声が小さいことを知っているのです。

社会保険料率の引き上げは非常に大きなものでしたが、消費増税の時のような反対は起きませんでした。

お金について勉強しよう

日本人はマネーリテラシーが低いと言われますが、給与天引きシステムが原因のひとつであることは間違いないと思います。

ですが、だからといってお金に対する無知を国のせいにしても仕方がありません。

給料から何が引かれているかはインターネットで簡単に調べることができます。

知識がついてくると、所得控除目当てでイデコに申し込むかもしれません。イデコは投資商品を買いますので、投資についても勉強することになるはずです。

お金に関する知識は身の助けになります。

まずは自分が毎月どれだけ払っているのか(=給料から引かれているのか)を把握することから始めましょう。