法人成りはそんなに節税にはならない
個人事業、フリーランスで働いている人は「法人成り」について、一度は調べたことがあるのではないでしょうか。
税理士や関連企業が書いた記事がヒットして、「信用力が上がる」「節税になる」的なことが書かれています。
そして売上が〇〇万円を超えたら法人成りを考えよう、と締めくくられています。
もちろん法人にするもしないもその人の自由ですが、「節税」についてはやや疑問があります。
個人に配当する時に税金がかかる
節税になる理由のひとつとして、個人所得税と法人税の税率差がよく挙げられます。
法人税率はほぼ一定であるのに対し所得税率は累進なので、ある程度以上の所得が出た場合、法人税の方が安くなるという主張です。
その場合、役員報酬を低めにして法人になるべく所得を残しましょうという話になるのですが、その法人は永続させる方針なのでしょうか。
会社規模をどんどん大きくして、次の社長にバトンタッチすることを考えているのであれば、法人に所得(≒お金)を残しておくことは大事だと思います。
しかし法人にする理由に「節税」が頭をよぎる人は、おそらくそんなことは考えていないでしょう。
無理に法人化しなくてもやっていける規模ではあるが、「税金高い。払いたくない。」から法人化して支出を減らしたいと考えているだけだと思います。
そういう人は法人に残った所得(お金)を個人的に使いたいはずですが、法人から個人に配当すると20%の源泉所得税がかかります。
法人から借りることもできますが、結局返さなければならないですし、銀行もいい顔をしません。
会社にお金を残してどうするの?という問いに対する答えが必要ということです。
総合判断が必要
さらに社会保険料、税理士費用、事務負担の増大についても考慮しておかなければなりません。
イデコに拠出できる金額(所得控除額)も個人事業主時代より大幅に低くなります。
確かに消費税の免税期間の実質的延長や、家族に所得を分散させやすくなるというメリットはありますので総合的に判断が必要ですが、税理士は顧問料が高くなる法人成りを勧めてくる傾向があることは知っておくべきでしょう。
私自身は今は個人事業ですが、組織と言うものがそもそも嫌いですし、「厚生年金」という腐っていく金への強制積み立てもしたくないので当面は個人事業のままでいくつもりです。