士業とコンサルタントの違い

税理士や弁理士などの士業の業務と、コンサルタントが行うコンサルティングの違いを意識しておくことは結構重要だと思っています。

両者の本質的な違いは国家資格の有無ではなく、「作業代行業なのか、ノウハウ提供業なのか」ということです。

士業とは基本的には企業や個人が行うべき作業を本人の代わりに行う業務です。

税理士であれば記帳や確定申告、弁理士であれば特許の出願手続き、弁護士であれば訴訟手続きを本人に代わって行います。

タイムチャージか費用対効果か

対してコンサルタントとは自分が持っているノウハウを顧客に提供(転嫁)することが業務ですので、作業の代行は行いません。

両者は混同しがちですが、明確に別のものであると知っておくことは非常に重要です。なぜなら作業代行とノウハウ提供では販売価格の決め方が決定的に異なるからです。

 作業代行業の販売価格は基本的には時間チャージです。1時間あたり4000円の人件費がかかっているから、顧客には1時間あたり1万円をチャージするという考え方です。

 

一方、ノウハウ提供業の販売価格は費用対効果があうかどうかであり作業時間は基本的には関係ありません。

1000万円の価値があると顧客が判断すれば販売価格は100万円でも500万円でも構いませんし、ノウハウを提供するためにコンサルタントが何時間作業しようと関係ありません。

実際はひとつの業務の中に作業代行部分とノウハウ提供部分がミックスされているものですが、自社がどちらに重きを置いているのかははっきり認識しておくことが重要です。

作業代行であれば作業の効率化や採用活動などに力を入れる必要がありますし、ノウハウ提供であればノウハウの価値を常に高めていかなければなりません。

講師とコンサルタントの違い

また講師とコンサルタントもまったく違う職業です。

講師業は、主催者からの講演料(あるいは参加者からのセミナー代)がメインの収入の人達です。

商工会議所などとコネクションを多くもち、先方の要望に応じていろいろなテーマで話をします。

講演に呼んでくれる団体がお客様ですので、次も呼んでもらえるよう「使い勝手のいい講師」「参加者からのウケがいい講師」を目指します。

そして講演料を上げるためには知名度が重要ですので、本をたくさん出したりテレビに出たりします。

そういう方のホームページをみると、たいてい「講演のご依頼はこちら」「寄稿・執筆のご依頼はこちら」というページがあります。名刺上は「〇〇コンサルタント」と名乗っていても、実態は講師業だということです。

批判しているのではなく、それが正しい営業努力だと思います。

主たる収入源が何かで判別

一方、コンサルタントは企業や個人から受け取るコンサルティング収入がメインです。

どこかの団体に呼ばれて講演やセミナーを行うことはあっても、講演料やセミナー代が目的ではありません。

「コンサルティングの依頼につながるきっかけになる」「この団体で話せば拍がつく」と思えば無料で話すこともあります。

コンサルタントとして独立している人が知名度が高い講師業の人をベンチマークする場合は、「自分とは別業界の人」と認識しておくことが重要です。

 

ちなみに私はコンサルタントの方です。経済団体からセミナーの打診を受けることもありますが、講演料を目的にビジネスをしている訳ではありませんので、基本的にはお断りしています。

士業なのか講演家(セミナー講師)なのかコンサルタントなのかは、名刺の肩書きではなくビジネスモデル(≒主たる収益源)で決まります。

独立を考えている人は、自分がどれを目指しているのかを明確にしておきましょう。