つまらない税制改正セミナーから学ぶ情報発信の方向性

税制改正の時期がやってきました。これからあちこちで税制改正セミナーが開催されると思います。

税制改正セミナーは会計事務所や税理士法人にとっては新規客との接点となり得ますので、ビジネス上の必要性は理解できます。

 

ですが・・・きっとつまらないセミナーばかりだと思います。

なぜなら、「給与所得控除がこうなる、固定資産税がこうなる」という「事実」を伝えるだけのセミナーだからです。

「専門家の私見」が聴きたい

国のルールが変わるのですから、改正の内容を伝えるだけではどこも同じになってしまいます。

単なる事実ではなく、改正の背景、これまでの経緯、政府の狙い、特定の業界に与える影響、今後の改正予想などについての分析、つまりその道のプロとしての私見が聴けるセミナーであれば価値はあると思います。

 

例えば「個人的な予想ですが、事業承継税制は今後数年でもっと使いやすくなると思います。株の譲渡はあと2~3年待ってみてはいかがでしょうか。」という感じです。

そういう内容であれば参加者は、「なるほど。専門家の見立てはそうか。」と感心するはずです。

他と違う切り口が欲しい

そもそも税制改正大綱や法人税法、基本通達などの形で明文化された情報はビジネス的価値が低いです。

インターネットで検索すれば誰もが同じ情報にたどりつくのですから、高い価値などあるはずがありません。

 

そこで大事になってくるのが、独自の切り口です。

同じ税制改正を扱うにしても、「過去10年間の組織再編税制の改正から読み解く中小企業のM&Aの未来」というセミナーであれば、特定の人から支持を受けると思います。

今年の税制改正をちょっと勉強した程度では話せない内容ですので、エッジの効いたセミナーになりそうです。本当にあったら私も参加したいです。

複数スキルの掛け合わせを

インターネットでちょっと検索すればわかるような内容では、もはや差別化になりません。横並びに見られがちな士業は特に、他にはない情報を発信していきたいです。

かつて誰かが「いちご」と「大福」を掛け合わせたように、「税理士業×IT」「人事専門家×ベトナムでの実務経験」など、複数スキルを掛け合わせることが、オリジナル情報を作るための早道だと思います。