ロボットやAIと競争する必要はない

半世紀ほど前まで、稲刈りはほとんど手作業で行われていました。
大変なマンパワーがかかる作業だったと思います。
その後、稲刈りが機械化されたことによって作業効率が格段に上がり、お米を作るコストは大幅に削減されました。
同じような機械化が多くの分野で起き、「傘作り職人」などは低価格な工業品に仕事を奪われていきました。
サービスの機械化が始まっている
日本人は職人が大好きですので、「伝統の技を受け継ぐことが大事」という風潮はあります。
ですが、では自分は工業品の600円の傘と職人が作った5000円の傘のどちらを買うでしょうか。
多くの人が600円の傘を買うはずです。だから傘職人の仕事が減っているのです。
実体のある「モノ」の機械化・自動化が20世紀に起きたとすると、21世紀は実体のない「サービス」の機械化・自動化の時代です。
過疎地における自動運転バス、自動精算コンビニ、AIによる投資助言あたりはほぼ実用段階です。
会計業界でも「全自動仕訳マシーン」はまだ難しいかもしれませんが、「半自動仕訳マシーン」はできているようです。
サービス開発にかかる試験研究費の税額控除が認められるようになったのも時代の流れといえるでしょう。
こだわった商品が欲しい人が少しはいる
交通費の精算など間接業務の効率化にそのような最新技術を使うのはいいと思いますが、自社が提供する商品・サービスそのものについてロボットやAIと競争するのは止めた方がいいでしょう。
「記帳代行」などは特に危ないです。
一定以上の規模を狙うためには「画一化」「マニュアル化」を行い、人海戦術によるコストダウンが不可欠になりますが、それこそ機械やAIの得意分野です。
例えるなら傘作り職人が機械で大量に傘を作る企業と価格競争をするようなものです。
600円の工業品の傘を選ぶ人が多数派ですが、なかには職人が作った傘が欲しいという人もいます。
そういうマニアな人達に5000円と言わず、1万円や2万円で傘を提供することを考えましょう。
つまり機械やAIによるコストダウンが機能しない領域で他社が提供できないサービスを提供するということです。
AIやIoTによりどんなサービスが登場するかは楽しみですが、競合他社が最新の技術を使ってコスト競争をしかけてきても大丈夫かどうかは考えておく必要があると思います。