実際のお客さんの意見以外はすべて無視して良い

今はインターネット上に匿名で自分の意見を言うことができる場面が多くあります。

ヤフーニュースやグルメサイトのコメント、書籍のレビュー、勤めている(勤めていた)会社の評価サイトなどです。

まるで自分が全知全能の神になったかのように、好き放題に意見を匿名で述べることができます。

匿名でなくとも、自分の意見をいろいろ主張したい、議論したいという学者チックな人は、(特に専門家には)多いように思います。

日本語には「耳を傾ける」という耳ざわりの良い言葉があります。

自分勝手な判断をせず相手の意見を謙虚に聞くことは美徳とされています。

ですが私はビジネスにおいては、人の意見は基本的には聞く必要がない、むしろ聞いてはいけないと思っています。

議論する気ゼロ

私もブログやメルマガ、書籍で自分の意見を発信していますが、コメントを求めたりすることはありません。

ツイッターも掲示板として使っているだけで、誰かのつぶやきをリツイートしてコミュニケーションを取ることもありません。

一方的に自分の意見を言うだけです。

お客さんになる可能性のない一般企業の人や、他の税務専門家と議論しても1円にもならないからです。

マーケティング活動として情報発信をしているだけですから、見込み客以外の人がどう思おうと私には関係がないことです。

不毛な議論よりも、私が発信する情報をみて「ちょっとコイツに聞いてみよう」という人(見込み客)を1人集めることの方が100倍重要です。

立場によって「正しい」は変わる

主張したがり、議論したがりの人は自分が正しいと思っている訳ですが、それぞれの立場によって何が正しいのかは変わります。

感染症対策の専門家は「もっと強い措置を講じるべき」と言いますし、百貨店業界の重鎮は「生活インフラなので、通常営業を目指すべき」と言います。

どちらも間違いではありません。

私も自分の立場から自分にとって都合のいいことを言っています。

私と方向性が合う人と付き合えばいいことですので、立場が違う人とすり合わせをする必要はないと割り切っています。

「移転価格対応は内製化した方がいいですよ」と主張し、「そうだよね」と言ってくれる人を待つ「この指止まれ作戦」です。

お金を出さないと本当のところはわからない

そういう意味で私は実際のお客さんからの意見だけは真摯に耳を傾けるべきだと思っています。

それはビジネスの改善につながる「本物の意見」だからです。

「実際にお金を出してサービスを受けた人」と「傍からみていて想像でモノを言う人」の意見には天と地ほどの価値の違いがあります。

大金を払ってハーレーダビットソンに実際に乗っている人の意見と、インターネットでハーレーダビットソンを調べまくっただけの人の意見では、どちらに信を置くべきでしょうか。

航空会社は、ビジネスクラスには価格ほどの価値はないという、ビジネスクラスに乗ったことがない人の意見に耳を傾けるべきでしょうか。

(本人はそう思っていませんが、)出費という痛みを伴う行為を実際に行っていない人の意見は、たいていズレています。

世の中には雑音があふれていますが、相応の金額を払った人の意見だけが本物だと考えると、ビジネスの方向性がシンプルにみえてくるのでないでしょうか。