単独スキルでは生き残れない

「経理一筋25年」「営業畑」「研究畑」という言い回しがあります。

いずれも「ひとつの道を長く続けることに価値がある」という意味が込められている言葉です。

その価値観を否定する訳ではありませんが、私は単純なひとつの道(ワンスキル)で生きていくことはリスクが高いと思っています。

AIなどの新技術に仕事を奪われる、事業部門ごと外注される、会社ごと無くなるということは普通に起こります。

これは現在特有の話ではなく、それぞれの時代で当たり前に起こってきたことのはずです。

私の父親はレタッチという広告作成の技術をもっていたのですが、パソコンの登場でその技術自体が不要になったといっていました。

ワンスキルしかなければ、そのスキルの価値が下がった時、たちまち困ってしまいます。

複数スキルの組み合わせを考える

時代の変化に対応していくためには複数のスキルをもっておくことが重要だと思います。

藤原正彦さんという方が、「100人に1人のスキルを3つかけ合わせれば100万人に1人の希少性を持てる」と主張されていますが、本当にそうだと思います。

100万人に1人とは、「当代1人」といえるともおっしゃっています。

経理関係の仕事をしている人が日本に300万人いるとすると、5~10年間(あるいは1万時間)の努力で上位3万人以内に入るスキルを身に着ければ、「100人に1人」を1スキルです。

ここでさらに経理道を追求して、上位3万人⇒上位1万人と目指すのではなく、法務やITに転じて、その分野で上位1%を目指す方が希少性が高くなるということです。

たしかに経理とシステムの両方、経理と法務の両方ができる人は非常に希少です。

会社も重宝しますのでリストラされにくいでしょうし、転職する場合の選択肢もグッと広がるはずです。

あるいは一見、同じ「研究畑」の中にいるようにみえても、複数分野の研究において上位1%のスキルをもっておくことが重要だと思います。

海外勤務はコスパ良く希少性が上がる

そしてその「選ぶべき1スキル」として私がいいと思うのは「海外駐在員経験」です。

営業にせよ経理にせよ、「3年間タイで働いた」「中国で働いた」という経験がある人は希少です。

経理ができて、ITができて、タイ駐在経験がある、そんな人は超希少人材です。

実際、海外赴任経験がある人が、60歳を過ぎてから好条件の転職を成功させている例を何人かみたことがあります。

海外赴任のチャンスがあれば積極的に手を上げるといいのではないでしょうか。

自分オリジナルのスキルミックスを考えて、常に供給<需要のポジションでいられるようにがんばりましょう。